皆様、こんにちは。

弁護士の高橋です。

 

今回は、自動車の所有権留保についてお話しいたします。

 

所有権留保とは、売買代金が支払われるまでの間、当該代金債権を担保するために売買の対象物の所有権を売主に留保するという担保の一種です。

自動車の売買における割賦代金を担保するために設定されることが多くあります。

 

そして、破産や個人再生手続きを行う場合、債権者の中に上記のような自動車ローンの債権者も含まれている場合、注意が必要です。

 

何故なら、自動車の所有名義が買主であるか、自動車の販売会社(ディーラー)であるか、債権者(自動車ローン会社)であるかによって、債権者からの自動車引き揚げに応じるべきか否かが変わるからです。応じるべきでないのに、応じた場合、裁判所に不当な財産流出と判断されるおそれもあります。

 

結論から言いますと、所有名義が買主本人または販売会社である場合は、引き揚げに応じる必要がない可能性が高いです。そして、所有名義が債権者である場合は、引き揚げに応じなければならない可能性が高いです。

 

上記のように結論が異なるのは、破産または個人再生の開始決定が出る時点において、当該自動車ローン債権者は、他の債権者に自身の担保権を主張できる対抗要件を具備しなければならないためです。

 

ただ、平成25年頃から、所有名義が債権者以外の場合であっても引き揚げに応じられるように、各自動車ローン債権者が契約の条項を見直す動きがあります。

 

また、破産または個人再生の開始決定前においては、所有名義の内容にかかわらず、引き揚げに応じなければならないという考え方もあります。そのため、開始決定が下りる前に迅速に勝訴判決を得て引き揚げを試みる自動車ローン債権者もいます。

 

さらに、軽自動車の場合は、他の債権者への対抗要件が自動車の所有名義ではなく、引渡による占有であり、通常の契約書には占有が債権者にあることが明記されています。そのため、軽自動車の場合は、引き揚げに応じなければならないことが殆どです。

 

以上のとおり、自動車ローンの残っている自動車をお手元に残せるかどうかは、自動車の名義と契約内容によることになります。

 

ですので、当事務所にご相談いただく場合は、契約書と車検証をお持ちいただき、車を残すことができる事案であるか、そして、迅速に申立てを行わなければならない事案であるかを十分に検討させていただきたいと思います。

 

それでは、また。