秋葉原にあるアットホームな法律事務所(弁護士事務所)です。
所長弁護士の櫻田真也が、日々の出来事・雑感、コラム、食レポなどを記します。

弁護士の櫻田です。

 

今回は、最近取り扱った案件から、「特別代理人」の話を。

 

この案件は、

法人を相手に訴訟を提起したいのだけれど、その法人の代表者が亡くなってしまった。

その法人は、代表一人の会社で、他の役員もおらず、従業員もいない。

つまり、実質的に、法人に関与する人がまったくいない。

という状況でした。

 

法人に訴訟を提起する場合、訴状の被告の標記には代表者を特定する必要があり、当然、その代表者には法人の代表権を行使することが前提となっています。

 

では、法人の代表者が不存在又は代表権を行使できない場合、その法人を被告として訴訟を提起することはできないのでしょうか?

訴訟提起ができなければ、問題が停滞して、損害が発生・拡大することも懸念されます。

 

民事訴訟法では、この点についての対応が規定されています。条文を引用してみましょう。

 

37条】「この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。」

351項】「法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。」

 

つまり、代表者が不存在の法人を相手に訴訟を提起する場合、遅滞のために損害を受けるおそれがあることを疎明した上で、その法人の「特別代理人」の選任を申し立てることができ、その特別代理人が法人の訴訟行為を代理することで、結果的に、その法人に対する提訴をすることができるのです。

 

選任の申立てをしなければならない点、事前に特別代理人が誰になるか分からない点(多くの場合、名簿に登録された弁護士が選任されることと思いますが)、一定額の予納金を納めなければならない点などで、やや面倒ですが、訴訟提起ができない不利益を解消できるので、この制度に利用には前向きに取り組むべきでしょう。

 

この法人のケースは、民事訴訟法の規定の関係(37条が351項を準用している)からすると、応用的なケースです。

基本的には、訴訟能力がない個人の場合を見据えて設計されています。

 

個人の典型的なケースが、認知症などで訴訟能力がない個人に対して訴訟を提起したい場合などでしょう。

認知症の方に成年後見人を就けてもらうことも考えられますが、外部の人間がそれを主体的に導くことは極めて難しい。

なので、この特別代理人の制度があるわけです。

 

では、今回はこの辺で。

 

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