こんにちは。弁護士の佐竹です。

 

個人再生手続で、住宅ローン付の自宅はそのままにして、他の債務を減免する場合、住宅ローン債権について、住宅資金特別条項を利用する必要があります。

 

この住宅資金特別条項を利用するには、 まず、住宅ローンが、「住宅の建設若しくは購入に必要な資金(中略)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権(中略)を担保するための抵当権が住宅に設定されて」いる必要があります(民事再生法1963号)。

 

要するに、この条項を使うには、「住宅」に抵当権が設定されている必要があります。

 

ところで、自宅の土地が、市町村から購入した保留地(土地区画整理事業の宅地)である、という方がいらっしゃるかと思います。

通常の宅地では、売買契約後に所有権移転登記手続を行うことができますが、保留地売買の場合、土地区画整理事業が完了するまで、保留地の購入者への所有権移転登記手続ができません。もちろん、抵当権設定登記手続もできません。

 

そうすると、自宅の土地が保留地の場合、個人再生手続の住宅資金特別条項が使えないのか?というと、そのようなことはありません。

民事再生法1963号で抵当権の設定が求められているのは、「住宅」であるところ、民事再生法上、「住宅」は建物であって、土地は含みません(民事再生法1961号・2号)。

ですので、自宅の建物に抵当権が設定されていれば、住宅資金特別条項を利用することは可能です。

 

一方で、民事再生手続には、「清算価値保障原則」という原則が適用されます。

これは、個人再生を申立てる人の資産が、最低弁済額(通常、住宅ローンを除いた債務総額の1/5)より大きい場合、再生計画においては、その資産額を弁済する必要がある、というルールです。

たとえば、最低弁済額が120万円と試算されても、申立人の自動車の価値が300万円相当ある場合、再生計画では、この300万円を支払う必要があります。

 

そうすると・・・。

保留地の話に戻りますが、前記のとおり、建物については抵当権が設定されているため、住宅ローン残債分の価値が、建物の価値から控除されます。住宅ローンの残債が、建物の価値より大きい場合は、建物の価値はゼロとなります。

ですが、土地については、抵当権が設定されていないため、土地の価値が清算価値に計上されてしまうのではないか?

というと、そのようなことはありません。

通常、保留地売買を対象とした住宅ローンを組む際、住宅ローン業者は、保留地の権利証等について、質権設定を行っています。この質権は、個人再生手続においては、別除権として扱われ、債権者に優先的な弁済がなされます。したがって、保留地については、住宅ローン業者が、住宅ローン残債務分の価値を把握していることになります。そのため、住宅ローンの残債が、保留地の価値より大きい場合は、土地の価値はゼロとなります。

そのため、土地の価値が丸々清算価値に計上されるということはありません(あくまで、住宅ローンの残債務が、土地建物の価値を上回る場合です)。

 

以上、長々と書きましたが、保留地売買の場合でも、住宅資金特別条項を利用することは可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。