秋葉原にあるアットホームな法律事務所(弁護士事務所)です。
所長弁護士の櫻田真也が、日々の出来事・雑感、コラム、食レポなどを記します。


弁護士の櫻田です。

今回は、最近取り扱っている案件から、権利能力なき社団について紹介します。

まずは、基本的なことから。
民法上、権利の主体となるのは、個人(自然人)と法人とされています。
つまり、個人(自然人)でもなく、法人格もなければ、民法上の権利主体にはなりません。
しかし、複雑化した現代社会では、法人格を持たない団体が多く存在します。法人格を持たないといっても、こうした団体は法人と変わらない実体を有していることがあります。
そこで、そのような団体には、組織、財産、構成員の権利・責任などについて、一定の要件を充たせば、法人と同様に扱ってもいいと判断されます。
一定の要件とは、判例上(最判昭和39年10月15日民集18巻8号1671頁等)、①団体としての組織を備えていること、②多数決の原理がおこなわれること、③構成員の変更にもかかわらず、団体そのものが存続すること、④組織によって、代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していること、とされています。
このような団体を「権利能力なき社団」といいます。よく例に挙がるのが、組合、同窓会、町内会などでしょうか。
このあたりのことは、民法を勉強する際、最初の頃に学ぶところでしょう。

今回問題としたいのは、この権利能力なき社団について、訴訟での当事者能力が認められるかどうかです。 ご依頼を受けた案件の相手方が、この権利能力なき社団、具体的には、有限責任事業組合(LLP)だったのです。
このLLPに対して訴訟を提起したいのですが、当事者能力の存在は、訴訟要件といって、請求が認められるどうかの実体的な判断する以前に訴訟が適法に係属するかどうかの要件になるので、仮に訴訟の当事者能力が認められなかった場合、訴えが却下されてしまうことになります。

この点、民事訴訟法第29条及び民事訴訟規則14条に規定があります。大事な条文なので、引用してみましょう。
法29条「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」
規則14条「裁判所は、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものとして訴え、又は訴えられた当事者に対し、定款、寄附行為その他の当該当事者の当事者能力を判断するために必要な資料を提出させることができる。」
つまり、権利能力なき社団でも、代表者や管理人の定めがあれば、訴訟の当事者能力を有することになり、裁判所は、訴訟要件の調査のため、代表者の定め等に関する資料の提出を求めることができるのです。

条文通りの事情があれば、何も迷いません。
本件は、相手方のLLPの商業登記簿を取り寄せたのですが、代表者の定めがないのです。しかも、詳細は言えませんが、構成員・事業内容の点も、怪しい点がかなりあります。定款の確認も困難です。
このまま漫然と、LLPを被告として訴えを提起すると、代表者の定めがないという理由から、訴えが却下されてしまう可能性が否定できません。

LLPが当事者となった判例を探してみると、訴訟要件が問題になっている事案はほぼありませんでした。まあ、判決が出ているのであれば、訴訟要件があることが前提なので、当然といえば当然ですが。
ですが、中には、多少参考になりそうなものもあったので、上手く活用できればと思います。

ともあれ、本件については、策は考えているので、鋭意対応していきます。

ちなみに、LLPに関しては、「有限責任事業組合契約に関する法律」という法律があります。
LLPの制度は、10年以上前に、ジョイントベンチャー等の振興のため、民法上の組合の特例として創設されたものです。
興味のある方は調べてみてください。

では。

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