弁護士の櫻田です。

もう月末ですね。やはり、2月もあっという間に逃げていくようです。

さて、いきなりですが、「潮時」という言葉があります。その正しい意味をご存じでしょうか?ちなみに、潮の満ち引きを表現する場合でないこと前提としてください。
もしかしたら、「ものごとの終わり」という意味で理解された方もいらっしゃるかもしれませんが、それは本来的な意味ではないそうです。
正しくは、「あることをする(やめる)ためのちょうどいい時期、好機」ということです。
必ずしも、何かが終わること、何かをやめなくてはならない局面のことを指すわけではないようです。

この「潮時」を読むことは、弁護士にも必要な能力だと思います。
多く事件では、解決に至るような潮時があります。その潮時に解決できると、結果的に良い結果に導くことができます。
ただ、私が潮時と判断しても、多くの事件には、相手方と依頼者の方がいます。私だけが潮時だと思っても、最終的に相手方との間に合意ができなかったり、依頼者の方にご判断をいただけなかったりして、そのときに解決ができないことはよくあります。
相手方は仕方がないにしても、依頼者の方との意見が合わないと、なかなかやり難いことがあります。

例えば、100万円の請求をしているとして、交渉の結果、相手方も大分譲歩して、80万円なら支払うと言ってきた。証拠の状況を踏まえると、裁判をしても、相手方が争ってくれば、判決で、こちらの請求が全部認容されるとは限らない(こちらの証拠に弱い面がある)。もしかしたら、棄却されて、1円も取れなくなってしまうかもしれない。こうしたリスクを考えるなら、80万円をもらっておいた方が賢い選択ではないか。
もちろん、交渉や裁判の中で、支払額を最大限増やす努力をしておくのが前提ですが、その過程・努力を経ているのであれば、敗訴リスクを考えると、80万円をもらっておく方が客観的には依頼者の方の利益に資する面が大きいと思います。
しかし、こうしたケースでも、どうしても、100万円を支払ってほしい、加えて、利息なども1円も負けたくない、と頑なに和解を拒否する依頼者の方もいます。リスクをきちんと踏まえた上で、和解拒否をするのであれば、代理人としては、その意向を尊重すべきなので、和解をすることはできません。ただ、繰り返しになりますが、敗訴リスクの説明は十二分にしておく必要があります。

こうしたケースでは、依頼者の方との信頼関係の維持には細心の注意を払わなければなりません。80万円での解決の提案は、もしかしたら、相手方の肩を持つのか、早く仕事を終わらせたいんだろうなどと誤解されかねませんから。

「潮時」の読み方は、人それぞれだと思いますが、弁護士としては、知識・経験を積んで、客観的な判断ができるようになるべきです。加えて、人間性を豊かにして、説明力を鍛えて、依頼者の方の主観的な判断も、なるべく客観的な判断に近づけることも必要だと思います。

では。