神田須田町にあるアットホームな法律事務所(弁護士事務所)です。
所長弁護士の櫻田真也が、日々の出来事・雑感、コラム、食レポなどを記します。


こんにちは、弁護士の櫻田です。
今年もあと2ヶ月を切りましたね。本当に時が経つのは早い、常々そう思います。

さて、今日は、日頃の疑問に思っていることの話です。

テレビニュースや新聞で、刑事裁判にかけられた人のことを「被告」と表現されていることです(NHKでも、「被告」ですよね)。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、これは不正確です。
正確には、刑事裁判にかけられた人は、「被告人」と表現しなければなりません。

一般的にざっくり分けると、裁判には、「刑事裁判」と「民事裁判」があります。

「刑事裁判」は、犯罪の嫌疑がある人に対して、有罪か無罪か、有罪であれば、その処分を決定するものです。刑事裁判にかける(「起訴」といいます)かどうかは、検察官が判断します。
このように、犯罪の嫌疑があるとして起訴された人のことを「被告人」というのです。

一方で、「民事裁判」は、お金の貸し借り、離婚、相続、不動産の売買や賃貸など、世の中に数多ある私的な紛争について、その問題を解決するためのものです(詳細は割愛しますが、民事裁判の種類は、訴訟や調停など様々あります)。紛争の当事者であれば、原則、誰でも、裁判所に民事裁判を起こすことができます。そして、民事裁判(訴訟)では、裁判を起こした(訴訟を提起した)側を「原告」、裁判を起こされた(訴えられた)側を「被告」というのです。
このように、「被告」とは、ただ単に訴えられただけ(語弊があるかもしれませんが)の人です。原告の主張に法的根拠がなかったり、証拠が不十分だったりした場合には、原告の請求は認められません。実際、原告の言いがかりに近いような裁判も目にすることもあります。なので、「被告」として訴えられたからといって、その人が直ちに何か悪いことをした、まして、犯罪の嫌疑をかけられたわけではないのです。原告の請求が認められたとしても、民事上の責任を負うだけで、犯罪者として刑罰に問われることはありません。

以上のとおり、「被告」と「被告人」はまったくの別物なのです。

私が原告の訴訟代理人となった場合、法廷などで、弁護士を付けずに対応している被告本人から、「何で犯罪者扱いするんだ」「罪状認否はしない」などと言われることがあります。また、民事裁判を起こされた被告の方からの法律相談でも、「自分は何も悪いことはしていないのに」「逮捕されたりしないのか」などといった不安を聞くこともあります。
やはり、「被告」とされるだけで大きな心理的負担があるのでしょうけど、根本的な誤解をされているなと思います。

このような世間一般の誤解の原因は、マスコミが「被告人」を「被告」と表現することにもあるのではないでしょうか。
しかし、難しい法律用語を分かりやすく伝えるためのマスコミ用語なのだと推測はしますが、この誤用の正式な意図や理由を調べても、よく分かりません(まさか、マスコミ自身が誤解していることはないと思いますので・・・)。
「被告」の誤用を見聞きするたびに疑問に感じているので、この裏事情について何かご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただければ幸いです。

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット

トラックバック